『中頌』の考察

「根本中道の詩 仏に帰依し敬うための詩」

a+nirodham an+utpādam an+ucchedam a+śāśvatam/
m.acc
停止しない 生まれない 切り捨てない 永遠でない

an+ekārtham a+nānārtham an+āgamam a+nirgamam//
m.acc
単一かつ同じ対象でない 異なった対象でない 近くに来ることでない 外へ行くことでない

yaḥ prati+itya+sam+utpādaṃ prapañca-upaśamaṃ śivam/
pronouns.sg.nom karmadhāraya-comp.m.sg.acc karmadhāraya-comp.m.sg.acc m.sg.acc
向かって行って一緒に起こることを 増大が静かになったことを 幸せを

deśayām+āsa saṃbuddhas taṃ vande vadatāṃ varam//
√diś.periph.pf.3rd.sg m.sg.nom pronouns.sg.acc √vand.pres.A.1st.sg pres.pt.pl.partitive.gen ind.
指摘してしまったのである 完全に悟った方 私は賞賛する 説教者たち中の 最高の

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・現代日本語試訳(超直訳)

「停止しない 生まれない 切り捨てない 永遠でない
単一かつ同じ対象でない 異なった対象でない 近くに来ることでない 外へ行くことでない
(そのような、)幸せな、概念的増大が静かになった「向かって行って一緒に起こること」(現象が起こること)を
、完全に悟った方は、指摘してしまわれたのである。私は説教者たちの中で最高であるその方を賞賛する。」

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・要約
概念的増大(prapañca)が静まって、ありのままに現象をごらんになる方に、私は帰依します。
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・いろいろ頭で「これはこう、あれは何だ」とぐるぐると考えをめぐらすと、現実離れした世界がどんどん増大していきます。
それをやめて、「現実」に向かい合いましょう。そうすればこの現実には、どんな変わらないものも無いことがわかります。
変わらないものは、脳みその中で勝手に作ったものです。現実は実体がありません。
それは理論的にそうだというわけではなくて、現実そのものがそうなのです。昨日真実であったものが、今日は間違いになっている、そういうことはたくさんあります。そんなものに執着するのは馬鹿げています。
絶対的な真実は何も無い。この世界は言葉であれこれ考えてみてもしょうがない。ならば考えるのをやめて当たり前の世界に生きましょう。
あたりまえは一番幸せに生きる道です。「ごく当たり前に生きる」のが良いのです。